テレビはますます薄型化しています。ドイツのエレクトロニクスグループLoeweは、この薄型化の最前線にいます。Loeweでは、その新しいReferenceシリーズ液晶テレビの厚さを、従来の通常値である100/120mmからそのほとんど半分のわずか60mmにまで狭めることができました。これはLED方式バックライト搭載の最先端のディスプレイと薄型ラウドスピーカーだけでなく、電源の挿入時の高さの最適化といったテクノロジによっても実現されています。
使用されるテレビの奥行は受像管によって決まりますが、今日重視されているのはスイッチモード電源とその周辺部品、特にトランスです。照明の技術革新が着実に進んできたことにより、EPCOSは100Wトランスの挿入時の高さを50mmから15mmに縮めるのに成功しました。このトランスは、最先端の高効率電源の用途としても最適化しました。
電源に関する最先端の概念
100~500Wのレンジでは、従来のフライバックコンバータまたはフォワードコンバータがまだよく使用されています。それらのコンバータは、スイッチング損失が比較的高いので、そのトポロジーの効率が85%を超えることはごくまれです。そのため、電源ユニットが400Wの場合、ヒートシンクおよび回路基板から約60Wの電力が損失します。その結果、そのような従来の電源ユニットは、製造コストがかさみ、またかなりのスペースを占めます。
そこで、Loeweでは、その超薄型プレミアムテレビの電源ユニットで最先端のLLCトポロジーを採用しています。LLCでは、発振回路の機能を実行するトランスの磁気インダクタンス(Lm)、浮遊インダクタンス(Ls)、および共振コンデンサ(C)という3つの主要な部品を必要とします。指定します。MOSFETパワー半導体のスイッチング損失を最小限に抑えるため、LLCスイッチモード電源の電圧はゼロ電圧スイッチング(ZVS)により切り替えます。Loeweでは、そのモジュラ電源のすべての電源クラスで、LLCコンバータの前にPFC段を設けています。これにより、電流フローの角度が改善されるだけでなく、効果的に安定化された入力電圧もコンバータに供給されます。
この回路のスイッチング損失が少ないため、ヒートシンクが不要で、熱は基板によってのみ下がります。そのため、電源の製造が簡単になり、コストを削減できます。
| | 図1:薄型トランス |
 | | スイッチモード電源の新型トランスの一次および二次巻線は、それぞれ独自の分室に収納され、空間を節約するために互いに積み重ねられます。 |
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Loeweとの緊密な連携による製品開発
Loeweから初回のお問い合わせがあってから4週間後、EPCOSではその超薄型トランスのプロトタイプを提供しました。それらのプロトタイプに基づき、Loeweでは、EPCOSの製品開発部および製品マーケティング部と緊密に連携して、変圧比が異なる2つの100Wトランスおよび1つのPFCトランスの仕様を作成しました。これらはいずれも、その新世代プレミアムテレビで要求されるものであり、最適な形で適合しています。
超薄型構成(図1)で巻線が互いに積み重ねられ、EPCOSの新しい2分室型の各トランス(挿入時の高さがわずか15mm)は100W以上の変圧が可能です。EPCOSの特殊なE26コアは、50~200kHzのスイッチング周波数で良好なカプリングと、わずかなリーク磁界であることを保証します。
本トランスのコイル巻型は、絶縁に関する最高クラスの要件を満たしており、CTIグループ1またはPLC 0になっています。一次巻線と二次巻線の分離およびコイル巻型の電圧強度により、トランスの寸法がコンパクトであるにもかかわらず、AC 3000Vという誘電体としての高い強度が保証されています。また、一連のコンポーネントは、電源トランスに関するヨーロッパおよびドイツの防備要件もすべて満たしているので、VDEテストにも合格しています。次の表に、本トランスの主要な仕様の概要を示します。
表:新型トランスの技術データ(概要)
| Transformer T4506 | Transformer T4505 | PFC transformer T4580 |
| 寸法(高さ×幅×厚さ) | 15.5 x 27.5 x 47.5 mm³ | 14.5 x 27.0 x 42.5 mm³ |
| インダクタンス(一次側) | 37.0~43.0µH | 50.8~59.2µH | 900µH ± 15% |
| 巻線抵抗(一次側) | 最大0.30Ω | 最大0.30Ω | 最大0.60Ω |
| 直流抵抗(二次側) | 最大50mΩ | 最大50mΩ | -- |
| 変圧比 | 9:4:4 | 12:4:4 | 64.5:3.5 |
| 絶縁破壊強度(コアに関する巻線) | AC 1500V | AC 1500V | AC 1500V |
| 絶縁破壊強度(一次/二次) | AC 3000V | AC 3000V | -- |
「最先端の電源トポロジーにより、これらのトランスは95%以上の効率を実現できます」と、EPCOS製品開発部門(マグネティクス)のBernhard Roellgen氏は説明しています。電力損失が低いことにより、テレビの電力使用の改善に寄与するだけでなく、500Wまでのレンジでは、電源ユニットにおけるパワー半導体の使用時にヒートシンクが要らなくなります。。そのため、製造コストが減り、非常に薄型の設計が可能になります。これに大きく寄与しているのは、トランスのオープンな真空含浸設計であり、これによりトランスをそのはんだピンを介して回路基板に直接配置できます。
Loeweの電源開発においては、ミュンヘンにおけるトランスの開発と中国におけるトランスの製造に役割を分担しました。新型トランスをは、Hongqi(中国)にあるEPCOSの工場で量産するため、Loeweと協力して本プロジェクト独自のツールを構築し、Loeweの回路開発と、EPCOSの製品開発によってさらに改善しました。「スイッチモード電源(Loewe)と薄型トランス(EPCOS)を同時に開発できたことにより、シリーズ部品に仕上げる時間を大幅に短縮し、顧客のために開発原資を最大限有効活用することができました」と、製品マーケティングマネージャ(トランス)のUwe Ernst氏(ミュンヘン)は語っています。
イノベーションの原動力となる照明技術
EPCOSではもともと、省エネランプの電子安定器で使用される薄型積層巻線で基本コンセプト概念を作りました。高度なコンピュータシミュレーションを使用してトランスの磁気特性を最適化することで、磁気ループを最小化し、コンパクトな薄型寸法で高性能を実現できました。量産品という観点からも、この分野では照明産業が技術革新の牽引役となっています。また、照明技術に関わる電子部品は、高い温度領域でも、たとえ使用数が多くても確実に動作しなければなりません。
モジュラ電源のパートナー
ただし、プレミアムテレビの電源ユニットで使用するには、薄型巻線の概念をモジュラ電源の概念に合わせてうまく適合させ、最適化する必要がありました。また、電気的アイソレーションの信頼性を保証する必要もありました。Loeweの開発目的の1つは、モジュラ回路設計により同じコンポーネントを使用して、200~500Wの範囲でさまざまなクラスの電源を実装することでした。新たな部品により、従来のようにレンジごとにそれぞれ異なるトランスを用意する必要がなくなりました。増強する必要があれば、このトランスを複数使用することで間に合います。
EPCOSでは現在、新型トランスだけでなく、Loeweの新しい超薄型プレミアムテレビの電源に多くのインダクタやフィルムコンデンサを提供しています。