EPCOSの各種バリスタは改訂されたUL® 1449規格に適合します。過電圧保護を規定した本第3版は、2009年9月29日に実施されました。
この数年、ヨーロッパの電気・電子産業界では、サージ保護装置(SPD)の安全基準について検討が幾度も行われ、中には大幅な改訂もあり、EN 60950-1の第1版では、サージ抑制器の使用が義務づけられました。 さらに、それらは当時適用の過度電圧抑制器(TVSS)UL 1449規格にも準拠する必要がありました。
EN 60950-1の第2版には、1次側回路に使用するバリスタは、IEC 61051-2またはUL 1449の第3版のいずれかに準拠しなければならないと規定されています。 UL規格に適合した他の用途で使用され、重要安全部品として分類される場合は、非電圧依存性抵抗器型のサージ抑制器でも、改訂版のUL 1449に適合する必要があります。
UL 1449第3版の改訂事項
Underwriter Laboratories(UL)は、サージ保護装置(SPD)の保護コンポーネントの最新規格として、以前の版を完全に刷新するUL 1449第3版を2009年9月に発行しました。 この発行日以降、市場に投入される全装置は、UL規格認定ラベルを取得するためには、新たな要件を満たす必要があります。 この改訂による変更で、特に購買者と開発者にとって重要なポイントは3つあります。
第1には、いくつかの用語変更が行われました。 今後は、過度電圧抑制器(TVSS)はサージ保護装置(SPD)に置き換えられます。 さらにUL 1449 第3版は、米国国家規格協会(ANSI)規格になりました。
第2に、公称放電電流が仕様に盛り込まれています。 電圧制限は、6 kV/3 kAでの測定となりました。
第3に、サージ保護装置(SPD)はタイプ1、2、3、4のクラスに分類されます。 試験電流ならびに電圧試験手順も改訂され、負荷サイクルは公称放電電流で試験することになりました。
現在使用中の設計に与える影響
サージ保護装置(SPD)に対する新たな要求は、IT機器のサージ保護目的で設計した部品の一般的な使用法についてIEC 60950-1が初めて規定したため、大きな影響をもたらします。 こうした要求は、電力供給装置に接続するIT機器など電源および一次側回路に対応するSPD付電源装置メーカーにとって検討しなくてはならないものであります。
1次側回路はサージ保護器のバリスタを専用的に使用しなければならないので、この規格は重大な結果をもたらします。 つまり、ガス放電管や電圧-電流非直線特性をもつ半導体部品などの保護素子は、電圧依存性抵抗器(VDR)には分類されません。 そこで、こうした部品の1次側回路での使用は制限を受けます。
UL 1449の第3版は、1000 Vまでの50/60Hz回路において、過度電圧を繰り返し制限する装置に適用されます。 その装置が電力系統の中に位置するか否かによって、UL 1449の第3版は4種類のSPDを規定しています。
タイプ1 は、送電線の主ヒューズの前段または後段に、永続的に設置された装置に対する規定です。 これは一般に、外付けのサージ電流対策なしで使われるSPDです。 つまり、変圧器の2次側とヒューズの電力側の間に設置されているものです。 この種のSPDは、UL 1449の第3版が導入される前に主に米国で使用されていた2次側サージアレスタに最も近いものです。
タイプ1のブロックバリスタとストラップバリスタ
ブロックバリスタ
実効電圧130~750 VRMSのB40シリーズ
実効電圧75~1100 VRMSのB60シリーズ
実効電圧130~1100 VRMSのB80シリーズ
これらのバリスタは、20 kA(IN)を適用するタイプ1にリストされています。
実効電圧75~750 VRMSのB32シリーズ
実効電圧75 VRMSを越えるB40シリーズ
これらのバリスタは、10 kA(IN)を適用するタイプ1にリストされています。
| | 図1: タイプ1のブロックバリスタとストラップバリスタ |
 | | EPCOSのブロックバリスタとストラップバリスタは、最大定格電圧1100 VRMS、最大定格電流20kA用に設計されています。 |
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ストラップバリスタ
実効電圧130~750 VRMSのL*40/41/42およびL*50シリーズ
これらのバリスタは、20 kA(IN)を適用するタイプ1にリストされています。
実効電圧75 VRMSのL*40/41/42シリーズ
実効電圧75~750 VRMSのL*3422シリーズ
実効電圧75~750 VRMSのL*32シリーズ
これらのバリスタは、10 kA(IN)を適用するタイプ1にリストされています。
タイプ2 は、主ヒューズの後段に永続的に送電線に接続された装置に対する規定です。 これらの装置は、配電盤を含めたヒューズの負荷側に設計されたものです。 そこでタイプ2は、固定配線接続された過度電圧抑制器(TVSS)を置き換えます。 そこで外付けの回路遮断器およびヒューズは、タイプ2の保護素子と組み合わせて使用できます。 このSPDタイプは、UL 1449の第3版が導入される前に、TVSSとして指定されていた保護素子に最も近いものです。 タイプ2に属する装置には、自動回路遮断器、ハンドドライヤー、モーター、電源装置などが含まれます。
タイプ2のディスクバリスタ
実効電圧115~750 VRMSのS25: B72225S*シリーズ
これらのバリスタは、5 kA(IN)を適用するタイプ2にリストされています。
実効電圧150~680 VRMSのQ20: B72220Q*シリーズ
これらのバリスタは、5 kA(IN)を適用するタイプ2にリストされています。
実効電圧130~680 VRMSのQ14: B72214Q*シリーズ
これらのバリスタは、3 kA(IN)を適用するタイプ2にリストされています。
UL準拠ステータス: K175~K440(承認申請中)を除き、すべて承認済み。
| | 図2: タイプ2ディスクバリスタ |
 | | タイプ2用途の一般的なディスクバリスタ。 右側のバリスタは、優れた負担軽減と複合パルス耐性を提供します。 これはバリスタ上に「K1」でマーキングされています。 |
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優れた負担軽減性能をもつEPCOSの複合パルスバリスタ
S14 MPシリーズ: B72214P2*K101
ディスクの直径:14 mm
実効電圧130~680 VRMS
これらのバリスタは、3 kA(IN)を適用するタイプ2にリストされています。 ディスク上に「K1」のマーキングが付いています。

S20 MPシリーズ: B72220P3*K101
ディスクの直径:20 mm
実効電圧130~680 VRMS
これらのバリスタは、5 kA(IN)を適用するタイプ2にリストされています。 ディスク上に「K1」のマーキングが付いています。

S14 MPおよびS20 MPシリーズのバリスタの利点:
- 繰り返しパルスで安定した終端電圧を可能にする
- 低振幅で繰り返し頻繁に発生する過電圧パルス向けに最適
- UL 1449の第3版のタイプ2用途に適応
- IEC 60950-1改訂第2版Annex QおよびIEC 60065:2002セクション14.12に対応
タイプ3は、送電線に直接使用され、10 m以上の導線(IEEE C62.41-199のカテゴリA)を通して配電盤に接続されるSPDに対する規定です。 規定の導体長さ10 mには、SPDを接続するための導体部分は含みません。 タイプ3素子には、コード接続や、ソケットやコンセントにプラグ接続されるSPDが含まれます。 タイプ3素子は、タイプ2素子として試験される場合を除き、公称放電電流での試験の対象にはなりません。 その他の例として、SPDが組み込まれたテーブルタップや電気製品の電源装置があります。 なお、これらの計測値は短絡回路電流(IK)を使ったものであって、定格電流(IN)ではないことに注意してください。
タイプ3のディスクバリスタ
S10 MPシリーズ: B72210P2*K101
ディスクの直径:10 mm
実効電圧130~680 VRMS
これらのバリスタは、3 kA(Ik)を適用するタイプ3にリストされています。 ディスク上に「K1」のマーキングが付いています。
UL準拠ステータス: S10K275E2K1~S10K680E2K1が承認取得済み。
S10K130E2K1~S10K250E2K1は承認申請済み。
S20シリーズ: B72220
実効電圧115~1000 VRMS
これらのバリスタは、3 kA(Ik)を適用するタイプ3にリストされています。
| | 図3: タイプ3ディスクバリスタ |
| | これらのバリスタは、実効電圧115~1000 VRMSで、最大3 kAの短絡回路電流用に設計されています。 |
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タイプ4 は、単体素子または素子アセンブリの形態をとるSPDに対する規定です。 タイプ4素子としては、EPCOSの酸化金属バリスタなどの単体素子、あるいは、複数のSPD素子で構成されるモジュールやシステムも含みます。 これらの素子には、EPCOSの酸化金属バリスタ、コンデンサ、サージ保護素子が含まれます。 このタイプ4は、素子レベルのSPDまたは複数の素子で構成されるSPDシステムについて、その適用環境(タイプ1、タイプ2、タイプ3)に応じた試験を行う規定です。
表(本報告書の最後のリンクを参照)に出ているEPCOSのバリスタは、すべてタイプ4です。
公称放電電流
UL 1449の第3版に盛り込まれた新制度として、公称放電電流による試験とそれに続く負荷サイクル試験があります。 公称放電電流は、タイプ1のSPDでは10 kAまたは20 kA、タイプ2のSPDでは3 kA、5 kA、10 kA、20 kAの中から、メーカーが選択します。 コンポーネントは、メーカーが選択した公称放電電流に一致させ15パルスで試験を受けます。
試験中に電気ショックや発火のリスクがまったく無いことが示されなければ、試験に合格することはできません。 さらに、試験過電圧路内に割れ目(裂け目)が生じてはいけません。 これは、ヒューズや回路遮断器など補助的な内外のサージ保護装置すべてに当てはまります。
公称放電電流による試験は、内外のサージ保護装置すべてが対象となります。 多くの開発者は、長時間の過電圧からを保護するために、外付けのサージ電流保護素子を使用しています。 この新たな試験に合格するには、メーカーが選択した公称放電電流で同じ15パルスにて、外付けないし内部のサージ電流装置を試験する必要があります。 公称放電電流は、SPDの種別プレートに記載されています。
電圧試験の制限事項
UL 1449の第3版の制限電圧試験は、6 kVと3 kAを組み合わせたサージ波形を使って、SPDの電圧保護率(VPR)を測定します。 本試験は、UL 1449の第2版の抑圧電圧率(SVR)の測定に類似しています。 第2版と第3版の試験における重要な違いは、試験に使用する電流の大きさが第3版では第2版の6倍も大きいことです。 これほど電流が大きければ、制限電圧もかなり大きくなります。 電流が非常に大きければ制限電圧も大きくなります。 従って、UL 1449の第3版で電圧保護率(VPR)が700 Vで試験を行った装置は、UL 1449の第2版で抑圧電圧率(SVR)が400 Vで試験を行った装置より、高い抑圧電流を示すことはありません。
要約
ドライブや大型コンプレッサのメーカーで、直径の小さなバリスタを使っていたり、バリスタをまったく使用していなかったりした場合、タイプ2のバリスタにアップグレードする必要があるかもしれません。 SPD(TVSS)メーカーで、5 mm、7 mm、10 mm、14 mmのバリスタを使用、または銅密閉型のSMTバリスタを使用している場合は、タイプ3用途に適合したバリスタにアップグレードすることを検討することをお奨めします。
UL 1449の第3版に直接かかわるお客様は別ですが、UL 508C、UL 840、UL/EN 60950、UL/EN 60065のターミナル規格が影響する可能性があります。 EPCOSは、ほぼすべての用途に適合した過電圧保護用のコンポーネントの広範な選択肢を提供します。
用途または装置の正しい分類を適用していただくために、開発者の皆さまは地域のULパートナーにご連絡するようご推奨いたします。
常にアップデートを重ねるEPCOSのUL認定バリスタ全製品の概要については、www.epcos.com/varistors_ulを参照してください。